紅潮バスルーム

今日で3回目のお泊り。

風呂に入ろうとした俺を呼び止めて、敦が何か手渡してきた。

「これ今日職場の女の子がくれてさぁ。使ってみて」

「何これ…鴇(とき)の湯?入浴剤?」

サラサラと、それをバスタブに流し込む。
濃いピンク色が湯船に徐々に滲み広がって、淡く染まる。

「なんか…無駄にフェミニンな気がするんだけど、この色…」


しばらくお湯に浸かっていると、敦が声をかけてきた。

「どうだったー?それ俺もまだ使ったことないんだけど、なんか、カプサイシン配合だったかな、いつもより温まるんじゃない?」

「うーん、、確かに言われてみれば汗がすごい」

「へ~……一緒に入ってもいい?」
風呂場のドアを少しだけ開けて敦がはにかんだ顔を見せた。

「あ、うん、でもこの風呂2人も入れるかぁ?」

「いーの、一緒に入れりゃ。」


冬の空気で冷えていた体が、いつの間にか温まって、このお湯の色みたいに紅潮していた。

それが入浴剤の所為なのか、こいつの所為なのか知らないけど。

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