蒼い花言葉
いつからだったろうか、ため息がこんなに増えたのは。
日曜日。
予定のない今日に限って、外は快晴。
少しだけ窓を開けると、暖かい日差しと肌寒い風が部屋に入ってきて、窓際に置いている鉢植えのビオラの花が揺れた。
元々知り合いだった長沼さんの紹介で始めた今の仕事も、半年が経つ。
「今日は何してんだろ、長沼さん。」一人、部屋でぼそりと呟く。
仕事を始めて数日目にひどく叱られてから、どうも怖いイメージが付いてしまって、長沼さんのこと、好きになれなかった。
それでもずっと一緒に仕事をしてるうちに、いつの間にか仲良くなってきて。
「やっぱり…好き、なんだろなぁ、コレって」
自分でこの感情をはっきり認識したのはつい最近だった。
仕事に行く度、気持ちばかりが膨らんでいくのに、伝えられる訳でもなくて、結局こうして毎日ため息ばかり。
「リスクが大きいんだよなー…」
仮に思いを伝えられたとしても、上手くいかなければ気まずいだけ、
だからってこの仕事を辞めるつもりもない。
そうやって今日も、窓際で報われない片思いに頭を抱えるのだった。
何となく願掛けになるかと思って買ったビオラの花も、黙ったままで、何をしてくれる訳でもない。
「『私の思いに気づいて』、か…。」
再び吹き込んできた冷たい風に、ビオラの花が、静かに揺れた。
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